鉄壁のコンビネーション。
働き者のご夫婦がせっせと料理を作って、にぎやかに接客している。神戸に来てからは、休日の午後や夜にバスケをするより、
圧倒的に日曜日の午前中にすることが多くなった。
バスケをしたら当然喉が渇く。ビールが飲みたい。腹も減った。
そこでフラリと適当なお店に入って一杯やりたくなるのだが
(さすがに昼から酒につき合ってくれる奇特な人はいない)、
昼間ともなるとそんな便利なお店があるようで無い。
必然的にラーメン屋で一杯、ということになるのだが、
自分の場合はバスケ後にJR元町駅で電車を降りて、
その足で休日出勤をすることも多いので、
腹ごしらえに元町近辺でお店を探すことになる。
…
JR元町駅から西に徒歩5分ぐらい、
モトコー3丁目高架下の「来々亭(らいらいてい)」。
何度かお店の目の前を通り過ぎているうちに気になって、
あるときに入ってからファンになった。
働き者のご夫婦が狭いお店で休むことなく動き回っていて、
次々と入ってくるお客さんをさばいている。
おっちゃんは常に大声で冗談を言っては、
常連さんと競馬の予想など、他愛のない会話をしている。
お店に入るや否や、まず「兄ちゃん、ビール飲む?」と聞いてくるので、
飲む気マンマンなこちらとしては「ちょうだい」。
で、キリンの瓶ビールが、小さな漬け物の小鉢とともにサッと出てくる。
素晴らしい。
逆に飲む気がない、初めてのお客さんは面食らうと思う。
自分は大抵、ビールを飲みながらギョーザを1枚、それからチャーシュー麺。
麺をあとから頼むとき「チャーハン一緒にいらんか?」と
これまたおっちゃんに聞かれるけど、
麺に充分ボリュームがあるので、こちらのオファーは断っている。
おばちゃんはずっとカウンターに背を向けて、
麺を茹でたりチャーハンを炒めたりと忙しい。
こちらに行くときは日曜日の13時前後なので、
店のテレビではNHKの「素人のど自慢」が放送されていて、
のんびりした“地元のラーメン屋”といった風情が
中年のひとり食べ飲みにはぴったり。
ギョーザは、おっちゃんがお店で包んでいる。
やや小ぶりで、タレは神戸ならではのミソダレ。
これににんにく醤油のようなタレをちょっと混ぜる。
ラーメンは、麺は白っぽい色で縮れがないストレート麺。
スープはサラッと澄んだ、あっさり甘めの味わい。
東京あたりのこってり系とは大きく異なるが、
神戸にはこのタイプが多いみたい。
神戸に来てからこの手のラーメンを食べて、好きになった。
ギョーザのタレに混ぜるにんにく醤油ダレを追加で足して、味を変える。
変な意味ではなく、
美味しすぎない“ほどほどの美味しさ”ってあると思う。
こちらのお店は雰囲気を含めて、全ての加減がちょうど良い。
支払いの際には「兄ちゃん、1500万円な」とおっちゃんが言う。
これぞ、関西の外から来た人間が期待する関西のあり方。乱暴だけど。
「ホナおつり、500万円」。きっちりおつりにも適用される。
帰る際には「兄ちゃん、ホナまた明日な」。
明るい気持ちになるお店。
何はともあれビール。ガラリと扉を開けたらすぐ聞かれるし。
教科書通り、ビールにはギョーザ。シンプルな味。
チャーシュー麺。チャーシューの盛りが良い。
しみじみと美味しく飽きのこない味。
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